栽培漁業


アイナメ

アイナメ

アイナメは日本沿岸、朝鮮半島南部、黄海に分布しているカサゴ目アイナメ科の魚です。

瀬戸内海で獲れるものは全長40cmまでのものが多いですが、北海道や東北地方では60cmを超える個体が漁獲されることもあります。肉は脂肪分が多い白身で、臭みがなく、刺身、煮付け、から揚げ、塩焼きなどで食べることができます。

瀬戸内海での産卵期は11月から12月で、藻場に卵塊を産み付け、ふ化するまで雄が単独で卵を守ります。20〜30日後、ふ化した仔魚は水面近くを活発に遊泳し、プランクトンなどを食べて成長します。翌年の春に底生生活に移行し、エビ、ゴカイ、小魚などを食べるようになります。

水産振興センターでは、平成23年度からアイナメの種苗生産技術開発試験に取り組み、平成25年度から事業化されました。

人工授精

雄のお腹を押し、出てきた精子を採取します。アイナメは精子の量が少ないので、注射器で慎重に吸い取ります。

お腹がよく膨らんだ雌親から卵を絞り出します。卵の色は紫色や茶色、緑色など、個体によって異なっています。雌親1尾から、5千〜2万粒の卵を取ることができます。

卵と精子を手でよく混ぜ合わせます。卵はとろろのようによく粘ります。

卵塊を薄く平らに整えます。こうすることで、すべての卵に水を行きわたらせることができます。

卵塊を紙ワイパーで覆い、海水をゆっくり流し込みます。

しばらく海水に浸しておくと、卵同士がくっついて固まります。これで受精完了です。

卵塊をネットに入れて水槽に吊るし、きれいな海水を流して管理します。

ふ化・成長

ふ化直前の受精卵です。卵の中で魚の形になっています。

ふ化直後の仔魚です。全長は約6.5mmです。

ふ化後40日の仔魚です。成魚とは異なり、水面近くを元気よく泳ぎます。色や姿も全然違いますね。全長は約20mmです。