新規就農にあたってのポイント

1 こころがまえ 

  農業を始めるということは、サラリーマン のように会社に就職するのとは違って、 ひとつの事業を起こすということです。自らが「経営者」ですから、「自然が好き」、 「無農薬で野菜を作りたい」、「田舎生活をしたい」、といった憧れだけでは、その経営は成り立ちません。
 
 自立するためには、経営者として生産・出荷・販売に対する客観的な判断が求められます。 起業家としてのビジョンが必要です。また、他産業と同様に資本がなければ、事業は起こせません。
 
 これらの留意点を考え、職業選択肢のひとつとして「就農」を選んでください。



2 家族の理解 

 

 農業で生計をたてることについて、 家族の理解と同意を得ることは最も大切なことといえるでしょう。 家族の方も一緒に農業に従事する場合はもちろんですが、 家族の協力が大きな支えとなることは、間違いありません。




3 作目の選択   

 一口に農業といっても、水稲、野菜、花き、果樹等、いろいろあります。 さらに、露地栽培か施設(ビニールハウスなど)栽培かといった違いもあります。
 
 広島市では農地面積が少ないため、 若い専業農家の経営は施設による野菜や花き栽培が中心となっています。
 
“ひろしま活力農業”経営者育成事業では、葉物野菜(コマツナ、ホウレンソウ等)の 施設栽培を対象にしています。
 これは、生育期間が短いため、一度栽培に失敗してもやり直しがきくことや 安定的に周年栽培が可能なことなど、 経営的に安全、有利なためです。


4 経営内容  

 農業はどれくらいの収入が見込めるのでしょうか。 水稲の場合、3,000u(約900坪)作付けすると30万円程度の売り上げで、 経費(特に機械減価償却費)を差し引くと、赤字になるでしょう。
 
 葉物野菜の施設栽培では、同一ほ場に年間約8回作付けすることができ、 同じ3,000uの面積で1,000万円程度の売り上げが見込まれます。
 
 一方、雇用が必要になることや、施設や機械等の投資が必要なため、 経費もかかります。差し引き300万円程度の所得とみておけば良いでしょう。




5 資金計画  

 農業(葉物野菜栽培)を始めるにあたっては、 施設整備費や運転資金等の資本が必要になります。 なお、葉物野菜栽培では、機械、建物、施設等の整備費として、 初期に2,000万円以上の資本が必要となるでしょう。 さらに運転資金や生活費等も考えなければなりません。
 
 このため、資金の借入れを起こす場合もあるかと思います。 その場合には、どの資金が利用できるか、借入れ条件はどうか、 担保、保証人の問題も検討が必要になります。
 
 そこで“ひろしま活力農業”経営者育成事業では、 初期の施設整備費の負担を押さえることを目的に、施設等のリース(JA事業主体)を活用しています。



6 農地の確保 

 農地の取得、賃借については、農地法等での規制もありますが、 いかにまとまった農地を確保出来るかが重要な課題となります。
 
“ひろしま活力農業”経営者育成事業では、本センターが賃借した農地で農業経営を開始します。
 
 なお、農業経営開始後の農地は有償で貸借することになります。
 



7 住宅の確保  

 住居は、営農する場所に近いところが望ましく、 公営住宅や賃貸アパート等のほかに空き家を借りるという方法もあるでしょう。



8 技術の習得   

農業を職業として選ぶためには、農業経営及び栽培技術を習得しなければなりません。
“ひろしま活力農業”経営者育成事業では、本センター等で研修を行います。
 また、研修終了後も関係機関の指導やアドバイス等による支援が受けられます。


9 地域での融和   

農村は閉鎖的とのイメージがありますが、それは先祖代々その地に住み、 住民同士の付き合いの程度が都会と比べて強いというところが大きいのです。 早くその農村にとけ込むためには、集会等に参加するなど 積極的にコミュニケーションをとることが求められますし、  農業協同組合の組合員や生産者の相互研鑚の場である農事研究会の会員となり、 幅広い情報を得る必要もでてくるでしょう。
 
 さらに、農村は人口減少や高齢化が進んでいますので、 いきなり地区の役員に推されることがあるかもしれません。
 
 いずれにしても、新規就農者は農村から注目される存在なのです。




10 農業の魅力     

 農業は、自分ががんばった成果が農産物としてはっきり目に見えるものとなります。これを収穫し、出荷する喜びは、農業ならではの醍醐味といえるでしょう。
 また、自然を相手に仕事をするのですから、人間本来の姿がそこにあるといえるかもしれません。しかし、自然の厳しさに容赦のないことは、肝に銘じておく必要があります。
 農業で成功している人は、能力が高いことはもちろんですが、とにかく作物をつくることが大好きという人です。好きならばこそ頑張って伸びることができるのです。