広島かき


かきの生態

種類

かきは軟体動物―二枚貝綱―翼形目―イタボガキ科に属する二枚貝です。

かきの種類は多く、世界中で約100種類、日本にも約20種類いますが、広島県をはじめ、日本で養殖されているのはマガキです。日本ではマガキのほかにイタボガキ、ケガキ、スミノエガキ、イワガキなどが比較的知られています。

体の構造

かきの身は、アサリやハマグリと同じ、二枚の貝殻に包まれています。でも、アサリやハマグリは皆同じような形をしていますが、かきは周囲の環境によって細長くなったり、丸くなったり、殻の形が変わります。

二枚の貝殻が、貝柱と靱帯でくっついていますが、かきは、アサリやハマグリと違って、貝柱は1つしかありません。

殻を開けてみると、貝柱や外套膜しか見えませんが、えらをはじめ、心臓、口、胃、腸、肛門などもちゃんと付いています。

エサの取り方

かきの餌は、植物プランクトンやその破片です。食事は、昼も夜も、ほとんど休まず一日中行います。餌を取り込むのは、エラの役目です。エラは、海水を吸い込み、この中に浮かんでいるプランクトンを漉し取ります。

このように、かきは餌を摂るのに大量の海水を取り込みますが、かき1個が濾過する海水の量は、1時間に約10リットル(ポリバケツ1杯分)にもなります。

産卵および付着

かきは、フランスガキのように1つの体に卵と精子を持つもの(雌雄同体)、マガキのように別々に持っているもの(雌雄異体)があります。しかし、マガキのように、今年は雄で精子を持っていても、翌年は雌にかわり卵を持つようになったり、あるいはその逆の場合もあり、雄と雌が年によってかわることがあります。

かきの産卵の方法はマガキのように卵を海水中に放出する種類と、フランスガキやイタボガキのように親ガキのエラのところで卵がしばらく留まっている種類があります。

マガキの場合、雄と雌の親が卵や精子を海水中に放出し、海水中で受精が行われます。うまく受精すると、卵(0.05〜0.06mm)は次々と分割していきます。身を包む貝殻は受精後、約1日で作られます。

その後、約2週間海水中のプランクトンなどを食べて過ごしますが、約0.3mmぐらいの大きさになると、付着する場所を探します。足を出して物の上を動き回ったり、気に入らないとその場所を去ったりします。

気に入った場所が見つかると、左殻を下にして、固着材(セメント質)を出して付着します。そして、かきはその場所を一生離れることはありません。

ところで、広島湾でのマガキの産卵は、7〜9月に盛んに行われ、この間に採苗も行われます。