栽培漁業


フリー配偶体によるワカメ種苗生産技術開発試験

フリー配偶体とは

ワカメは11月頃から4月頃にかけての寒い時期は「胞子体」と呼ばれる、一般的によく知られているワカメの形で生活していますが、5月頃から10月頃にかけての暖かい時期は、肉眼では確認できないほど微小な「配偶体」と呼ばれる状態で、通常は何かに付着して育ちます。この「配偶体」を浮遊させた状態(フリー)でフラスコなどで育てる方法が徳島県で開発され、フリー配偶体といいます。 
 このフリー配偶体による種苗生産は、種苗管理の省力化等が可能となるだけでなく、品種改良も容易に行うことが可能となり、これからのワカメ養殖を安定化させることができるものとして期待されています。 
 当センターでは、令和2年度からこのフリー配偶体による種苗生産技術開発試験を行っています。

試験の結果は、各年度の業務報告書をご覧ください。

ワカメ

 

 

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ワカメの生活史や従来の種苗生産方法については、ワカメのページをご覧ください。

フリー配偶体の培養

フリー配偶体の適切な培養方法を検討するため、照度や栄養剤等の違いによる比較試験を行っています。フラスコ内の茶色に見えるものがフリー配偶体です。

フリー配偶体を顕微鏡で拡大したものです。

10月頃、フラスコ内で培養したフリー配偶体を取り出し、ミキサーで裁断します。

    

裁断したフリー配偶体を、刷毛を使って種糸に塗布します。

フリー配偶体を塗布した種糸は、透明な水槽内で管理します。しばらくすると、配偶体から芽胞体が発芽します。その後は、通常のワカメ種苗生産と同様に海での中間育成を行います。

養殖試験

  

中間育成を行った種糸です。種糸全体にびっしりと茶色いワカメの幼葉が付いています。

    
    

この種糸を養殖用のロープに巻き付け、養殖試験を行います。

1か月ごとに生長状況を調査します。養殖試験開始時に数cmだった幼葉は、1か月後には約25cmになります。

養殖試験開始から2か月後、葉長は約110cmとなり、順調に生長しています。

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