栽培漁業


ワカメ

ワカメ

ワカメはほぼ全国に分布している褐藻類で、生長すると1〜2メートルに育ちます。

春になると成実葉(メカブ)から遊走子が放出され、岩の上などに着生して発芽し、オスとメスの区別のある配偶体となります。夏、水温が高くなると配偶体の細胞膜が厚くなり、休眠状態になります。秋になり水温が20℃以下になると休眠から覚め、配偶体が成熟して卵と精子がつくられます。その卵と精子が受精すると芽胞体が発芽し、水温が下がるにつれて目に見えるぐらいの大きさの幼芽となります。幼芽は冬の間に急速に生長し、胞子体と呼ばれる、いわゆるワカメの姿になります。

ワカメは生長する時に体全体を大きくするのではなく、葉と茎の間の生長点と呼ばれる部分から、先に出た葉を押しあげるようにして生長するため、葉の下の部分が新しい葉になります。冬がワカメの旬で、春に遊走子を放出すると枯死します。このようにワカメは一年間で一生を終えます。


   ワカメ

 

 

 

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遊走子付け

4月、大潮の干潮時にワカメの成実葉(メカブ)を採取します。

採取した成実葉です。成実葉は、大きくて黒褐色で粘液に富むものが遊走子を多く出すようです。

陰干した成実葉を海水に浸します。

しばらくすると成実葉の周辺が茶色く濁ってきます。これが遊走子です。

成実葉を取り除いたところです。海水が茶色く濁っているのが分りますね。

顕微鏡で見た遊走子です。黒い点が1つの遊走子です。右側の図のように鞭毛を持ち、しばらくの間、この鞭毛で活発に動き回ります。

この遊走子が活発に動き回る間に、糸を巻いた枠(種糸枠)を入れていきます。

時間が経つと遊走子は糸に付着します。遊走子が付着したら遊走子付けの作業は終了です。

培養・管理

遊走子付けを行った種糸枠は、コンクリート水槽に入れて水温と照度を管理しながら培養します。

遊走子が発芽してできる配偶体です。この状態で水温が下がる秋まで照度を低くして管理します。

10月下旬から照度を高くして芽胞体の発芽を促します。

このツクシのような形のものが芽胞体です。水温が下がるにつれて徐々に生長します。

中間育成(沖だし)

芽胞体がある程度大きくなったところで、海での中間育成に移ります。海では栄養塩や光など、芽胞体が生長するために良い環境が整っている半面、珪藻や汚れがたくさん付着します。そこで、ワカメがこれらに負けないように、毎日、種糸枠を海面に叩きつけて珪藻や汚れを落とします。

こうして出来たものが写真の種糸です。葉っぱのように見えるものがワカメの幼葉で、ワカメ養殖はこの糸をロープやワラ縄に巻いて行われます。