ナマコ資源増殖試験
日本の沿岸には約100種類のナマコ類が生息していますが、食用として利用されているそのほとんどはマナマコです。 マナマコは、北海道から九州にかけて沿岸の潮間帯付近から水深20〜30mの浅海に多く分布しています。体色により、アカナマコ、アオナマコ、クロナマコと区別して呼ばれ、アカナマコは岩礁などに生息するのに対し、アオナマコ、クロナマコは砂泥底に生息しています。
生食されるほか、干しナマコなどに加工されます。「このわた」は内臓の塩辛で、「くちこ」は卵巣の干物です。
近年、漁獲量が減少しているナマコ資源の増殖を図るため、当センターでは、令和2年度からナマコの種苗生産試験と放流効果の検証に関する調査を行っています。
試験の結果は、各年度の業務報告書をご覧ください。
種苗生産
成熟したメスにホルモン液を注射してしばらくすると、体を左右に振りながらオレンジ色の卵を産卵します。
そこへ、オスから採取した精子を入れてかき混ぜ、受精させます。
受精卵は細胞分裂し、やがて幼生になります。幼生は浮遊しながら変態を繰り返し、受精から約2週間で着底し稚ナマコとなります。
これは、アウリクラリア幼生です。この後、ドリオラリア幼生、ペンタクチュラ幼生へと変態していきます。
約2週間の幼生期を経て、稚ナマコになったところです。5本の触手を伸ばして着底し、親ナマコと同じように生活し始めます。
その後、稚ナマコは付着珪藻などを食べながら成長し、1か月で約3mmの大きさになります。
放流効果の調査
稚ナマコをカキ殻と一緒にネットの中に入れて船に積み込み、設置場所まで運びます。
稚ナマコが入ったネットを海底に設置したところです。
海底に設置したネットは、設置から1か月後、2か月後、4か月後にそれぞれ引き上げて、稚ナマコの残存状況等を調査します。