栽培漁業


スズキ

スズキ

スズキは日本各地と朝鮮半島南部の外海から汽水(海水と淡水が混ざり合う水域)、淡水域まで分布します。成魚は他の魚やカニ・エビ等の甲殻類を食べ、大きなものでは1m以上に成長します。スズキは代表的な出世魚(成長するにつれて呼び名が変わる魚)で、1歳未満の18cm前後のものをセイゴ、2〜3歳の35cm前後のものをフッコ、60cm以上のものをスズキと呼びます。  産卵は11月〜3月に沿岸の岩礁域、水深約50〜80mの所で行われます。卵は分離浮性卵といい、1つ1つが分かれて表層付近を漂いながらふ化します。 ふ化した仔魚は約2ヶ月間は浮遊生活をして、2〜3月に15mm程度になると内湾や藻場周辺に集まってきます。4月には20mm程度の稚魚となってアマモ場や河口域に移動し、一部は河川へ入ります。その間に稚魚は動物プランクトンやゴカイ等を主食として大きくなります。10〜11月までには13〜15cm前後に成長し、その後は徐々に深い場所へ移動し、水温が本格的に低下する12月には内湾を去り、沖合の深い所で越冬します。この時期はアミ類、エビ類、小型魚類を主食とします。  スズキは夏に旬を迎える魚で、白く透き通った身は刺身や洗い、塩焼き等に重宝されます。

人工採卵

卵が成熟してお腹が膨らんでいるメスのスズキです。このような親魚を選んで人工採卵を行います。

卵を搾り出す前に、まずはオスの精液を採取します。お腹を押しながら注射器で精液を採っているところです。

続いて、先ほどのメスのお腹を押しながら卵を搾り出します。多い時には、写真のボールに入りきらない程の卵が採れることもあります。

卵に精液を加え、軽く混ぜ合わせた後、海水を張った水槽へ卵を移します。卵は海水に入れて初めて受精します。そして、この中で正常な卵のみが水面へ浮いてきます。

ふ化

受精直後の卵です。中央に見える丸いものは油球(ゆきゅう)といい、卵が海水に浮くのはこれがあるからです。

卵は4〜5日でふ化します。写真はふ化し始めた頃で、頭からお腹にかけてまだ卵黄がついています。

成長

ふ化間もない仔魚(全長4.5mm)は口が開いておらず、お腹にある卵黄や油球をを吸収して栄養をとります。

ふ化後20日目です。全長は約8mmで、お腹には餌のワムシがたくさん詰まっています。

ふ化後70日目です。全長は約23mmまで成長し、体のつくりも成魚とほとんど同じになっています。

ふ化後90日目、放流直前の稚魚が元気に泳ぎまわっています。

稚魚の取上げ風景です。全長約30mmに成長した稚魚は河口や干潟等に放流されます。