広島かき子ども体験隊


令和5年度広島かき子ども体験隊の最新情報

令和5年9月10日 

最初に、センター職員から広島のカキ養殖の歴史や養殖方法などについて、スライドや動画を交えて説明がありました。

カキ養殖業者さんの作業船に乗り、草津港の桟橋まで移動しました。移動中には、カキに付着する生物の名前や垂下したカキに集まってくる魚介類の名前などの説明がありました。

  

広島市かき養殖連絡協議会のカキ養殖業者さんから「通し替え」の実演がありました。初めて見る作業に、参加者の皆さんは、興味津々でした。

「通し替え」の体験では、カキ養殖業者さんにサポートしてもらいながら、小さいカキが付いたホタテガイの貝殻と資材を交互に長い針金に通していきました。

環境に配慮したロープを使った「通し替え」の体験も行いました。ロープのよりを手で広げてホタテガイの貝殻を挟みこんでいきました。針金に比べてコツがいりましたね。

完成した針金とロープの垂下連を参加者の皆さんとカキ養殖業者さんが協力して作業船に連同士が絡まないように積み込みました。その後、草津港の桟橋から筏がある漁場まで移動しました。

カキ養殖業者さんが垂下連を筏に吊り下げる「本垂下」作業の見学をしました。筏が波でゆれていましたが、カキ養殖業者さんは、素早く筏に垂下連の針金を結んでいきました。

 

垂下連の後ろにネットが写っていますね。まだ小さなカキが魚に食べられないようにするため、9/10の体験隊の翌日に、垂下連の周りをネットで囲いました。

 

令和5年10月16日

本垂下から約1ヶ月が経過しました。筏に吊り下げた垂下連の水中写真です。

ネットで囲って食害防止の対策を行っていましたが、ホタテガイの貝殻の表側についたカキがいくつか食べられていました。

 

垂下連を上げてホタテガイの貝殻の裏側のカキを確認している写真です。魚によるカキの食害は、ホタテガイの貝殻の表側に比べ裏側では少ないことが確認できました。

ロープで挟み込んだカキも少し食べられていましたが、順調に成長していました。

令和5年11月6日

本垂下から約2ヶ月が経過しました。海中に沈めたカメラにカワハギが近寄ってきました。カキ筏の垂下連は魚のすみ家としての効果があります。

垂下連を上げてみると、ホタテガイの貝殻やカキに白い糸屑のようなものが沢山付いていました。これはゴカイの仲間のカンザシゴカイ類の棲管(巣)が付着したものです。

カキが付いたホタテガイの貝殻をセンターに持ち帰って、カキの成育状況等を確認しました。先月の写真と比べて、カキが一回り大きくなっていました。

カキの殻高(タテの長さ)を測ると約4〜5センチになっていました。これから水温低下に伴い、カキの成長が良くなってきます。

令和5年12月25日

12月25日の表層の海水温は14.0℃と低下してきました。魚の活動も鈍くなってくるため、食害防止のネットを取り外しました。回収したネットにはワレカラやヨコエビなどの小さな甲殻類や海藻などが沢山付着しており、広島湾の海の生き物の豊かさを実感することができました。

同じく食害防止のために、垂下連を2〜3本にまとめて吊るしていましたが、垂下連を間隔を広げて1本ずつ吊るしなおしました。これまでより、カキが餌の植物プランクトンを食べやすくなり、殻の成長や身入りも良くなります。

カキに付着していたカンザシゴカイ類の棲管(巣)を、ブラシできれいにこすり落とす作業を筏の上で行いました。手間はかかりましたが、成長をじゃまするカンザシゴカイ類がなくなり、カキがきれいになりました。

ロープの垂下連も針金の垂下連と同じように1本1本の間隔を広げました。これから、ロープと針金でカキの成長にどのような差がでるか楽しみですね。

令和6年1月22日

1月22日の表層の海水温は12.2℃でした。年が明けてから、体験隊筏の周辺をはじめとする広島湾内において、カキの餌となる植物プランクトンがぐっと増えてきました。

ロープと針金でカキの成長等を比較するため、それぞれの垂下連を引き上げて、カキをセンターに持ち帰り確認しました。

写真はロープの垂下連で育ったカキの塊です。ホタテガイの貝殻は、成長して大きくなったカキで覆われて、見えなくなってますね。

ロープと針金のカキを比べてみました。殻の大きさはほぼ同じくらいですが、むき身5個の平均はロープ7.4g、針金6.2gとなり、ロープで育ったカキの方が少し身が大きい結果となりました。(写真上:ロープ、写真下:針金)

   

令和6年2月19日

2月19日の表層の海水温は12.0℃でした。本垂下した時と比べると、カキが成長してホタテガイの貝殻を覆い、迫力のある風景に変わりました。

垂下連を引き上げると先月より少し重くなり、カキの成長を実感しました。カキとともに、付着した海藻類やホヤの仲間も大きくなっていました。また、ワレカラ等の小さな甲殻類もたくさん付着していました。

カキは大きいもので殻長が約8〜9センチになっていました。

むき身5個の平均はロープ9.7g、針金9.1gでした。先月よりも、針金・ロープそれぞれのカキの殻は成長し、身もぷっくりして美味しそうですね。3月の収獲が楽しみです。(写真:針金の垂下連のむき身)

   

令和6年3月3日

皆さんが楽しみにしていた収獲の日がやってきました。ライフジャケットを付け、センターを出発しました。

当日は晴天の中、作業船に乗船し、弁天島の漁場へ向けて出港しました。

移動中に、ホタテガイの貝殻についたカキ稚貝の観察やカキの養殖履歴などを復習しました。体験隊のカキは、養殖期間が短い「ワカ」と呼ばれる養殖方法のカキです。

体験隊の筏には、もう一隻の作業船が収獲するためにスタンバイしていました。

   
  

カキ養殖業者さんが収獲準備のために、手際よく約30本の垂下連を一ヶ所に集め、専用の金具に掛けていきました。

   

いよいよ、収獲がはじまりました。集めた垂下連をクレーンで吊り上げる光景は、近くで見ると大迫力。垂下連の針金の下の部分を切ると大きな音とともに一気にカキが船の中に落ちていきました。

   
   

収獲の見学後、希望者は筏の上を歩いてもらいました。センター職員補助のもと、筏の上を上手に歩くことができましたね。

   
  

作業船の上でロープ養殖のカキを金づちを使ってロープから外す体験を行いました。カキの殻を壊さないよう、慎重にロープから外し、使用したロープは再利用することを学びました。

   
  
  

別の漁場へ移動して、「ワカ」より養殖期間が長い「ヨクセイ」と「フルセ」の垂下連の収獲を見学しました。垂下連の長さが体験隊の垂下連より約2倍も長く、その迫力に皆さんから驚きの声があがりました。

   

収獲したカキは作業場で荷揚げされました。その後、カキは回転するドラムの中できれいに洗浄され、塊でくっついていたカキ同士が1つ1つに離れました。「ワカ」、「ヨクセイ」、「フルセ」の養殖方法の違いにより、殻の厚み、形、付いている生物が異なることを学びました。

   
   

センターに戻り、養殖業者さんへの質問コーナーです。たくさんの質問があり、養殖業者さんは分かりやすく答えてくれました。カキ養殖業のリアルな現場の声を聞くことができて、とても貴重な時間になりました。

   
  

収獲したカキを使って、カキ打ちの体験を行いました。最初は慣れない手つきでしたが養殖業者さんのアドバイスにより、上手にむき身にすることができました。カキ(ワカ)の試食も好評でした。